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概要
非常に感染力の強い、「ロタウイルス」というウイルスによって引き起こされる急性の胃腸炎で、0歳から6歳ごろの乳幼児や子どもに多く見られる感染症です。冬から春にかけて発生し、そのピークは2月から5月あたりになります。他のウイルス性胃腸炎と比較しても下痢や嘔吐の症状がはげしく見られることが特徴です。
症状
主な症状として、激しい吐き気・嘔吐、水のような白色便・下痢、39℃以上の発熱、腹痛が繰り返しみられます。下痢によって脱水症状がひどくなると、点滴が必要となったり、入院が必要になることもあります。5歳までの急性胃腸炎の入院患者の原因のうち、50%前後をロタウイルス感染症が占めています。また、合併症として、けいれん、肝機能異常、急性腎不全、脳症、心筋炎などが起こることがあり、死に至る場合もあります。
感染経路
ロタウイルスに感染した患者の便や吐物には、何億ものロタウイルスが大量に含まれており、飛散したそのウイルスが口から入ることで感染します。患者の便や吐物を処理したあと、十分に手洗いなどをしていても、手や爪に数億個ものウイルスが残っている事があり、そこから感染が広がっていきます。
治療
現在、ロタウイルスに特別な効果のある治療法はなく、下痢、嘔吐、脱水などの症状に対して治療を行うことになります。脱水を防ぐための水分補給、体力を消耗しないように栄養を補給することなどが治療の中心になり、脱水症状がひどい場合は医療機関で点滴を行うなどの治療が必要になります。
予防
ロタウイルスは、非常に感染力が強い為、感染を完全に予防することは困難です。患者のおむつなどを交換する場合は、使い捨てのゴム手袋を使うなどしましょう。また、捨てる場合は、ポリ袋などに入れます。手洗いは、指輪や時計などを着けている場合は必ず外し、石鹸で30秒以上もみ洗いをします。衣類が患者の便や吐物で汚れてしまった時は、家庭用の塩素系漂白剤や、次亜塩素酸ナトリウムなどでつけ置きして消毒したあと、他の衣類と分けて洗濯するようにしましょう。アルコールなどの消毒液は、効果がないと言われています。
また、日本では、乳児を対象にしたロタウイルスのワクチンが2種類あり、定期接種予防接種となっています。ワクチン接種することでロタウイルスに感染した際、嘔吐や下痢を防いだり、症状を軽くします。また点滴や入院が必要になるほどの重症例を約90%減らすと言われています。結果として、脳炎などの重い合併症も防ぐことができます。お子さんが生まれたらできるだけ早めにかかりつけの小児科医と相談して、接種スケジュールを立てておきましょう。ロタウイルス感染症はワクチンを接種することで予防できる疾患、すなわち「VPD:ワクチンで予防可能な病気」の一つであり、ワクチン接種をすることが非常に重要です。
次のような症状にお悩みの方はご相談ください。
症状に関する関連用語も記載しております。
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症状として、
突然白っぽい下痢を何度もしている、水のような下痢が止まらない、嘔吐が止まらず何も食べられない、吐いたあとぐったりして動かない、熱と下痢が同時に始まった、口の中が乾いている感じがする、おしっこが少なくなってきた、目がくぼんで顔色が悪い、泣いても涙が出ない、ミルクを飲まなくなってきた、熱があってもぐったりしている、下痢でおむつが何度も汚れる、食欲がまったくない、元気がなくぼーっとしている、何度も吐いて脱水が心配、水を飲んでも吐いてしまう、熱が高くて苦しそうにしている、顔が青白くなってきた、機嫌が悪くてずっと泣いている、目を閉じたまま反応が鈍い、
が出るなどがあります。
症状に関する関連用語として、
ロタウイルス、ロタウイルス感染症、乳幼児胃腸炎、ウイルス性胃腸炎、急性胃腸炎、脱水症、白色便、ノロウイルスとの違い、集団感染、経口感染、接触感染、潜伏期間1~3日、ロタワクチン、定期接種、対症療法、水分補給、経口補水液、点滴治療、整腸剤、下痢止めは使わない、感染予防、隔離対策
等があります。