疾患概要
四種混合ワクチンとは、ジフテリア、百日せき、破傷風(はしょうふう)、ポリオの4つの感染症を予防するためのワクチンです。特に百日せきは乳幼児にとって重症化しやすいため、生後2か月になったらすぐに接種を開始することが推奨されています。

各感染症について

百日せき
百日咳菌(ひゃくにちせききん)により感染し、とくに生後3か月未満の新生児は重症化しやすく、肺炎や呼吸不全、脳症などの重い障害のリスクがあります。最も感染者が多く、免疫が維持されないため定期的なワクチン接種が必要です。

破傷風
破傷風は傷口から侵入した破傷風菌によって生じる神経系の疾患です。現在はワクチン未接種世代である高齢者が発症するケースがほとんどですが、接種後30年以上経過していると抗体価が下がり発症のリスクが高くなります。

ポリオ
ポリオウイルスによる感染症で、ほとんどの場合無症状ですが、発症した場合は髄膜炎や球麻痺など後遺症を残すことがあります。
現在日本では発症例が見られませんが、世界的にみると発生国があり輸入感染症として注意が必要です。

ジフテリア
ジフテリア菌による感染症で、飛沫感染により広がります。重症化の場合、クループと呼ばれる のどの腫れや窒息の危険があります。

ワクチンのスケジュール
令和5年から4種混合ワクチンは生後2か月以降に接種可能となりました。1歳代までに4回のワクチン接種をして、小学校の高学生になったら2種混合ワクチンを接種します。

①第1期
1回目は生後2か月の誕生日に、2回目・3回目は初回接種から28日間隔を目安に行い、生後6か月までに3回目接種を終えるようにします。4回目の接種は1歳の年に行います。
4種混合ワクチンに加え、ヒブ、肺炎球菌、B型肝炎、ロタワクチンの合わせて5種類のワクチンも生後2か月から同時接種が可能です。

②第2期
11歳~13歳未満の間にジフテリアと破傷風予防の2種混合ワクチンを接種します。
感染者が最も多い百日咳の予防のための3種混合ワクチンは任意接種となります。どちらのワクチンにするか、かかりつけ医と相談しましょう。

予防効果を高めるために
ポリオに関しては、4種混合ワクチンの4回目接種終了後から5年経過した頃に追加摂取が望ましく、小児科学会が推奨しています。

副反応について
接種後に赤みや腫れ、しこりが生じる場合があります。回数を重ねるごとに症状が出やすくなることがありますが、ほとんどの場合、問題になることはありません。
まれに腕全体が腫れるなどの反応が見られた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。

ワクチン接種についてのアドバイス
ワクチンで防げる病気からお子さんを守るためには、適切な時期に忘れずに予防接種を受けることが重要です。地域ごとの接種方法や、病気の流行状況に応じてかかりつけ医と相談しながら接種の計画を立てましょう。特に生後2か月になったら早めのワクチン接種の開始が大切です。