疾患概要 中耳炎は、鼓膜の奥にある中耳が炎症を起こす病気です。中耳は耳管を通じて鼻や口とつながっており、このつながりが原因で感染症が中耳に広がり、炎症が起きやすくなっています。
とくに小児における感染症のなかでもよく見られる病気の1つです。


原因
子供の中耳炎の主な原因は、風邪やインフルエンザ、鼻のアレルギーなどの感染症によって引き起こされます。これらの感染症が、耳管の炎症や詰まり（閉塞）を引き起こし、中耳に細菌やウイルスが侵入することで発症します。

子供は大人と比べて身体が未発達なため、細菌やウイルスが鼻・口から中耳に入りやすく中耳炎にかかりやすいとされています。


症状
中耳炎の症状は耳の痛み・発熱・聴力の低下・耳の違和感など多岐にわたります。乳幼児では、泣きやすくなる、食欲不振、機嫌が悪くなる、しきりに耳を触ることが多くなります。


診断・治
急性中耳炎の診断は耳の中にある鼓膜の様子を直接見て判断します。適切な治療をすることでほとんどの場合完全に治ります。
治療を途中でやめてしまうと、重症化する恐れがありますので、きちんと治療を受けて経過観察することが大切です。

小児急性中耳炎診療ガイドラインでは重症度に応じた抗菌薬の使用を推奨しています。

軽症の場合
ほとんどは抗菌薬を使用せずに治癒します。3日間は抗生剤を使用せず鎮痛薬で対処します。

中等症～重症の場合
3日程度経った時点でも痛みがなくならない場合、もしくは鼓膜の状態が悪化している場合、抗生物質を使用します。

サワシリン、ワイドシリン、パセトシンを5日間使用し、効果が無い場合は
・抗生剤の量を増量するか
・抗生剤が効きにくい細菌に効果があるクラバモックスに変更します。

3日ごとに症状の推移を観察するのが大切です。


生活アドバイス
かぜと同様に普段から感染予防をすることが大切です。マスク着用や手洗い、うがい、咳エチケットに努めましょう。インフルエンザや肺炎球菌の予防接種を受けることで、中耳炎のリスクが減少します。
とくに小さなお子様はかぜと中耳炎を合併することがケースが多く、風邪を引いた後に耳を痛がっているなどがあれば、医療機関へ受診するようにしましょう。