疾患概要
ノロウイルスは、乳幼児から成人まで幅広い年齢層に胃腸炎を引き起こすウイルスです。集団食中毒の原因としても知られており、毎年11月から翌年の4月ごろまでにかけて流行しますが、冬の時期以外にも患者さんが見られます。感染力がとても強く、アルコール消毒が効きにくいのが特徴です。
感染経路
ノロウィルスに汚染された二枚貝を加熱調理が不十分なまま食べたり、感染した人がが調理した汚染された食品等を食べたりして感染します。
または感染者の糞便や嘔吐物、トイレなどのドアのぶ・蛇口・手を拭くためのタオルなどから手や物を介して感染する場合もあります。
症状
下痢や嘔吐が主な症状でありますが、腹痛・発熱・だるさを伴う場合もあります。老若男女問わず、辛い症状が数日続きます。
治療
症状を直接改善する薬剤はなく、症状を緩和させる対象療法が中心となります。
腹痛は体がウイルスと闘っている症状ですので、下痢止めなどの腸の動きを止めてしまう薬を用いると回復が遅れることがありますので、使わないようにします。高齢者は嘔吐物による誤嚥や窒息に十分に注意します。
感染してしまったら
適切な汚物処理と消毒、そして脱水対策を中心とした対症療法を行います。
嘔吐物を処理する際は
使い捨ての手袋・マスク・エプロンを着用して対応にあたります。嘔吐物はペーパータオル等でふき取ります。汚れた床は次亜塩素酸ナトリウムを用います。なお、水500mlを入れたペットボトルに、キャップ半分のハイターを加えることで、ご家庭でも手軽に消毒液を作ることができます。
この消毒液を布に染み込ませ、汚れた床だけでなく、トイレのドアノブや手すりなど、多くの人が触れる場所の消毒にも使用しましょう。但し、十分な拭き取りしないと床や、壁紙等が後から変色をおこしたりする事があるので注意してください。
嘔吐物の処理が終わったら、汚れたペーパータオルと着用していた使い捨て用品はビニール袋に入れて封をして捨てます。そのあとは石鹸と流水で手をしっかり洗いましょう。
脱水対策
経口補水液などを用いてこまめな水分を摂取します。吐いている最中は飲食は控え、症状が落ち着いているときに少しずつ摂取させます。特にお子供様や高齢者は脱水しやすいので注意が必要です。
改善が見込めない場合は、状態が悪くなる前に医療機関を受診し、適切な投薬や補液を行います。
感染しないために
手洗いが最も大切な感染対策です。調理や食事前、トイレの後は必ず手を洗いましょう。石鹸を十分に泡立て、指の先や爪の間も念入りに洗浄します。すすぎは流水で30秒以上しっかりと行いましょう。その後、清潔なタオルやペーパータオルで水分をふき取ります。
調理の際には調理器具や食器類は十分に洗浄しましょう。ハイターなどでのつけ置き消毒も効果的です。ほかにも、適切な換気と加湿、加熱が不十分な食品を避けるなどを心がけましょう。
次のような症状にお悩みの方はご相談ください。
症状に関する関連用語も記載しております。
(クリックで内容が表示されます)
症状として、
急に激しい嘔吐を何度も繰り返している、水のような下痢が止まらない、吐いてからぐったりして動かなくなった、何も食べていないのに吐き気がある、熱はないのに嘔吐と下痢がひどい、吐いたあとに顔色が悪くなっている、お腹を押さえて痛がっている、食欲がまったくなくなっている、水を飲んでもすぐに吐いてしまう、便が水っぽくてにおいがきつい、おしっこが少なくて脱水が心配、目がくぼんで元気がない、布団から起き上がれないほどぐったりしている、泣いても涙が出ていない、眠ってばかりで反応が鈍い、機嫌が悪くて泣き続けている、顔が青白くなってきた、下痢のあとにお尻がただれている、何度も着替えが必要になるほど下痢が多い、家族に同じ症状が出ている、
が出るなどがあります。
症状に関する関連用語として、
ノロウイルス、ノロウイルス感染症、感染性胃腸炎、ウイルス性胃腸炎、急性胃腸炎、冬の嘔吐下痢症、脱水症、接触感染、飛沫感染、経口感染、アルコールが効かないウイルス、次亜塩素酸消毒、吐物処理、食中毒、集団感染、感染拡大防止、水分補給、経口補水液、点滴治療、整腸剤、下痢止めは使わない、手洗いの徹底
等があります。