疾患概要
川崎病とは、幼い子どもに見られる原因不明の全身性血管炎で、日本の川崎富作医師によって最初に報告された病気です。特にアジア系の4歳未満の子どもで、男の子にやや多く見られる傾向にあります。症状は風邪と似ているものの、重症化すると心臓に後遺症を残す可能性があるため、小さなお子様を持つ方は症状を見過ごさないように注意が必要です。

症状
川崎病は典型的な症状がいくつかあります。①数日に渡る発熱②両目の充血③舌が赤くなる、いちご舌④全身性に発疹ができる⑤手足がパンパンに腫れて、症状が落ち着くと皮がむける⑥感染していないのにリンパ節が腫れる
特にBCG(結核ワクチン)接種部位が赤く腫れることもあり、この病気の診断に役立つことがあります。症状は必ずしも同時に現れず、順番が異なる場合が多いです。患者数は年々増加しており、2018年には17000人を超える報告がありました。

合併症のリスク
適切な治療を受けた場合、多くの患者は数日で回復しますが、一部の重症例では後遺症が見られることがあります。最も多い合併症は冠動脈瘤です。これは心臓を栄養している血管に異常なコブができることで、血流に乱れが発生し、血栓のリスクを高めてしまう病気です。後遺症の割合は全体の2.6%ほどとされており、冠動脈瘤を予防するにも病気の早期発見・早期治療が大切です。

原因
川崎病の正確な原因は明らかにされていませんが、アジア人に多くみられることから遺伝的要素が考えられています。要素を持つ幼い子供が自己免疫反応を引き起こし、その結果、正常な細胞を攻撃する免疫システムが全身の血管に影響を及ぼすため全身症状が現れます。

診断
特定の診断法はなく、典型的な症状が複数見られる場合には、その可能性を疑います。細菌感染やウイルス感染などでも同様の症状が現れるため、これらと区別するために、血液検査やエコー検査などを通じて、迅速かつ総合的に判断します。

治療法
冠動脈瘤を予防するために、アスピリン療法や免疫グロブリン療法が一般的に行なわれます。アスピリン療法では、血管の炎症を抑えるアスピリンという薬を服用します。免疫グロブリン療法では免疫グロブリン製剤を投与し全身の血管の炎症を抑える治療法です。発症から速やかに治療を開始することで効果が高まります。

早期発見のために
川崎病は早期発見し適切な治療を行えば、多くの場合元の日常生活ができるようになります。しかしながら、風邪の症状と似ているため診断が遅れるケースもあります。お子さんが発熱したら何日間発熱が続いたか、川崎病特有の症状が出ていないか、親は注意深く観察するようにしましょう。