病態概論
B型肝炎とはB型肝炎ウイルスによって肝臓に発症する炎症のことです。B型肝炎の原因は「垂直感染」と「水平感染」の2種類があります。
B型肝炎に感染しても自覚症状がなく、長い年月をかけて肝硬変や肝がんに発展していきます。日本では約50万人もの人が感染を知らずに生活していると言われています。
原因
「垂直感染」とは母親の子宮・産道を介して子どもに感染することです。1986年以降の法改正により、現在はほとんど生じないと言われています。
「水平感染」は、1948年〜1988年の乳幼児期の集団予防接種による汚染された注射針のまわし打ちなどが主な原因とされています。また、性行為による感染も多くみられます。
症状
B型肝炎ウイルスに感染した大半の人は、ウイルスが活動せず症状が現れない「無症候性キャリア」になります。
ただし、この状態の人でも肝臓がんに発展することもあるため、「無症候性キャリア」と診断された方は定期健診をしてフォローすることが望まれます。
キャリアの方は検査費用は助成対象です。肝硬変・肝がんの早期発見には高い専門性が必要なため、肝臓専門医のもとで受診しましょう。
一部の患者は感染して数週間から数ヶ月後にだるさや疲れやすい症状や、眼球や皮膚が黄色くなる黄疸・発熱などといった急性の症状を発症することがあります。
診断
B型肝炎は目立った自覚症状がないため、血液検査をすることで判別します。診断は血液中のHBs抗原を調べて陽性の場合は、さらに肝機能や超音波検査などを行います。
B型肝炎ウイルスが陽性であった場合は、将来において肝臓が障害される可能性があるため定期フォローをしていきます。
治療
核酸アナログ製剤を服用することでB型肝炎ウイルスの増殖を抑制します。ただし、生涯にわたって服用し続ける必要があります。
また、B型肝炎にはワクチンがあります。生後2~9か月の間に接種することで感染しなくなります。お子さんに忘れずに打つようにしましょう。
生活アドバイス
B型・C型肝炎の検査は何度も受ける必要はなく、一生のうち1度受けることで感染しているかどうかが分かります。
今まで一度も検査を受けたことがない方や肝臓に自信のない方は自治体の検診制度を積極的に利用しましょう。
肝疾患は、症状が現れたときには既に進行している場合が多いため、元気なうちに検査をすることが望まれます。
また、血液を介して感染する病気ですので、他人の血液に触れない・不衛生な操作を行わないことを必ず守りましょう。
次のような症状にお悩みの方はご相談ください。
症状に関する関連用語も記載しております。
(クリックで内容が表示されます)
症状として、
だるさが続いている、食欲がなくなってきた、全身が黄色っぽくなってきた、尿の色が濃くなっている、目の白い部分が黄色く見える、体がかゆくて仕方がない、微熱が続いている、なんとなく体調がすぐれない、疲れやすくなっている、右の脇腹に違和感がある、吐き気があって食べられない、倦怠感が強くて動けない、肌が黄色く変色してきた、お腹が張る感じがある、胸やけがひどくなった、筋肉痛のような痛みがある、寒気がして熱っぽい、夜になるとだるさが増す、集中力が続かない、眠気が強い日が多い、
が出るなどがあります。
症状に関する関連用語として、
B型肝炎、急性B型肝炎、慢性B型肝炎、肝炎ウイルス、HBe抗原陽性、HBs抗原、肝機能障害、肝硬変、肝細胞がん、血液感染、体液感染、母子感染、抗ウイルス療法、インターフェロン治療、核酸アナログ製剤、定期的な肝機能検査、ウイルスマーカー検査、ワクチン接種、感染予防、肝臓専門外来、肝生検
等があります。