疾患概要
かぜ症候群とは、いわゆる「風邪（かぜ）」をさす医学用語のことで、上気道における軽症のウイルス感染症の総称です。鼻水・鼻づまり・喉の炎症などが特徴的な症状です。1週間程度で自然回復することが多く、対症療法が基本となります。

原因
かぜの90％以上はウイルスが原因と言われています。接触感染や飛沫感染によりウイルスが鼻の粘膜やまぶたの粘膜に付着して症状を引き起こします。

症状
一般的なかぜは、鼻水、のどの痛み、咳が同時に発生します。そのほか、だるさや寒気（さむけ）、ふるえなどが伴う場合があります。症状が現れてから1週間程度で自然治癒する場合がほとんどです。

診断
かぜ症候群は、同じような症状を呈するCOVID-19やインフルエンザといった感染症と間違えられることがあります。そのためには迅速抗原検査などを施行してCOVID-19やインフルエンザを除外することが重要です。

治療
かぜ症候群の原因はウイルス性でありことが多いので、特効薬は基本的にはありません。症状を和らげる対症療法が中心となります。発熱による不快感がやのどの痛みにはアセトアミノフェン・ロキソプロフェンなどの解熱剤を用います。ただし解熱剤はかぜの期間そのものを短縮するわけではないので、症状が強いときのみ使用しましょう。

睡眠を妨げるせきには咳止めや去痰剤などが使用されます。鼻水の軽減には古いタイプの抗ヒスタミン薬が有用ですが、眠気などの副作用や高齢者ではふらつきの原因となることもあり注意をします。運転や危険な作業は避けるようにしましょう。

なお、抗生剤や抗菌薬はウイルス感染には効果を発揮しません。またそれらは、特定の病気にのみ効果を発揮するため、かぜ症候群においては、耐性菌を発現させないためにも状態に応じて使用していく必要があります。

生活アドバイス
普段から感染予防をすることが大切です。マスク着用や手洗い、うがい、せきエチケットに努めましょう。鼻づまりなどは放置しておくと、副鼻腔炎を発症する恐れがあります。とくに小さなお子様が風邪を引いた際に、いつも以上に機嫌が悪いときは鼻や耳の感染症を思い浮かべることが大切です。

また乳幼児が発熱して4～5日経っても症状が改善しない場合は重症化する恐れがあります。お近くの医療機関へ速やかに受診しましょう。