疾患概要
胆石症とは、消化吸収を助ける胆汁の成分が固まったものが、胆のうや胆道に形成され時には痛みや発熱などの症状を引き起こす病態の総称です。自覚症状が無い場合、経過観察を行うのが基本となりますが症状がある場合は薬物療法や胆のうの摘出を検討します。
症状
ほとんどは検診などで無症状のうちに見つかることが多いです。症状がある場合、右わき腹やみぞおち、背中が痛むほか、吐き気や嘔吐を伴います。
日本人の胆石保有率は10%程度とされていますが、その数は増加傾向にあります。また胆石症は女性の割合が多いとされていましたが、2013年の日本胆道学会による全国調査では男性に多い傾向が認められました。
胆石症の分類
胆石ができる部位によって、胆のう結石症・総胆管結石症・肝内結石症の3つに分類され、約75%程度が胆のう結石症です。
胆石が作られる過程
胆汁は消化吸収を助ける消化液として肝臓で生成され胆のうで蓄えられ、必要に応じて総胆管を経由して十二指腸に放出されます 。胆石症は胆のうと腸につながる管(くだ)である胆管や胆のうに、胆汁の成分が固まった石が詰まることで引き起こされます。
胆石のできやすい人
脂っこい食生活、脂質異常症、急激なダイエット,アルコール摂取、経口避妊薬の使用、ホルモン補充療法、長時間の絶食、加齢などによる胆のうおよび腸管の機能低下、40歳以上の女性、肥満、多産・経産婦などができやすい傾向にあるとされます。
治療
大きく外科的治療と内科的治療に分けられます。内科的治療は、胆石を溶かす薬を用いる薬物治療と、上部消化管内視鏡で胆石を除去する方法などがあります。外科的治療は腹腔鏡を用いて胆のうを取り除く方法があります。胆のう結石は、症状の有無によっても治療方針が変わります。
症状がある場合
再発を繰り返すことが多いため、腹腔鏡による胆のう摘出術が推奨されます。胆のうを摘出しても胆汁は肝臓で作られ直接腸に流られるので消化吸収に問題はありません。胆のう摘出後に脂っこいものを食べると排便回数の増加や下痢などの症状がみられますが、徐々に減っていきます。
無症状の場合
原則として炎症の有無や肝機能などを検査して経過観察します。無症状の人で、胆のう炎などの重篤な症状を示す患者は年間1~3%と低水準です。無症状の胆のう結石症に予防的に外科的な胆のう摘出術の施行は推奨されていません。
胆のう結石症に胆のう癌を合併するケースは0.1〜0.5%である。胆のう症に胆のう結石を合併する頻度は40%〜70%と高率であり、胆のう症の危険群(3㎝以上の大結石、10㎜以上のポリープ合併、陶器様胆のう、胆のう壁の肥厚、充満結石)では胆のう摘出手術を検討することが望ましいとされています。
生活アドバイス
無症状でも胆石を指摘されて気になる場合は、専門医に相談しましょう。胆石症を予防するためには、肥満・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病に気を付ける、脂肪の多い食品を摂りすぎない、規則正しくバランスの取れた食生活、アルコールや珈琲を摂りすぎないなど、日ごろから生活習慣に気を配りましょう。
次のような症状にお悩みの方はご相談ください。
症状に関する関連用語も記載しております。
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症状として、
右上腹部が痛む、食後に腹痛が強くなる、吐き気がする、腹部が膨らんでいる、胃が重い感じがする、油っこい食べ物を食べた後に痛みが増す、胸焼けを感じる、腹部に圧迫感がある、胃もたれがする、背中や肩甲骨に痛みが放散する、痛みが数時間続く、黄疸が出る、便が淡い色になる、尿が濃い色になる、食欲がない、体重が減少する、胆嚢が腫れている、右肩が痛む、胆石が見つかる、胆嚢の炎症がある、
が出るなどがあります。
症状に関する関連用語として、
胆石症、胆石、胆嚢炎、胆嚢の病気、胆嚢摘出手術、エコー検査、CTスキャン、血液検査、腹部痛、胆管結石、食事療法、脂肪制限、手術治療、内視鏡手術、胆石の治療、外科的治療、脂肪分制限、胆嚢機能低下、経過観察、抗生物質治療、経皮的胆道ドレナージ、
等があります。