疾患概論
アルコール性肝障害とは、アルコールの飲みすぎによって引き起こされる肝臓機能異常の総称です。進行すると重大な健康問題を引き起こすことがあります。
初期段階として脂肪肝から始まり、アルコール性肝炎、肝線維症、肝硬変、最終的には肝不全に至ることがあります。

症状
肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、肝障害が出ていても初期の段階では自覚症状はほとんどありません。そのため発見が遅れることがよくあります。
健康診断などで血液検査の異常を指摘されたり、あるいは症状が進行し、肝硬変の状態になると疲れやすさ、だるさ、むくみ、食欲不振、腹痛の症状がようやく現れて発覚することがほとんどです。

原因
5年以上にわたる過剰な飲酒が肝障害を引き起こす原因と考えられています。アルコール摂取により栄養バランスが崩れます。
また肝臓で分解される際に発生する化学物質は、炎症を引き起こし、肝細胞を傷つけることがあります。

診断
アルコールの過剰摂取の確認、生化学検査、肝生検(かんせいけん)、CT、MRI、超音波などの画像検査を通じて診断されることが多いです。
肝機能の値として「γ-GTP」「AST」「ALT」が高い場合、精密検査をします。

治療
治療は、飲酒のコントロール、栄養の管理、薬物療法、心理社会的介入など多岐にわたります。
最も効果的な治療はアルコールの摂取を減らすことです。アルコール依存症の治療では、心理社会的治療が中心となります。
薬物療法として、断酒補助薬(だんしゅほじょやく)、抗酒薬(こうしゅやく)が用いられます。
栄養障害を伴っていることが多く、ビタミンBの補給が栄養療法と同時に行われます。ナルメフェンといった治療薬も登場しており、治療の選択肢が増えたことは、今後の治療における大きな進展と言えるでしょう。

生活アドバイス
飲酒量のコントロールと、定期的な健康診断による早期発見が重要です。
1日の適切な飲酒量を知っておきましょう。成人男性の目安として、日本酒なら1合、ビールの場合瓶1本までを目指します。
すべての人に同じ量が適切ではないため、個人の健康状態や体重に応じて医師と相談するようにしましょう。また、女性や高齢者はさらに少量にします。
適度な飲酒を守り、最低でも週2日以上の休肝日を設けるのがベストです。定期的な健康診断も心がけましょう。


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